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2006年3月19日 (日)

Blu-ray vs. HD DVDこうなるだろうと思ってた

ITMediaが報じたところによると、韓国のLG Electronicsは、HD DVDとBlu-rayの両方を再生できる次世代DVDプレーヤーの発売を計画してるのだそうだ。
もっとも、今までの12cmディスクの規格競争を見ればごく当然の結果。書き込み型DVDだって、-RAMと-R/RWと+R/RWの規格があるけど、全対応のスーパーマルチドライブが当たり前になったし、CDの後継のオーディオディスクもSACDとDVDオーディオに分かれたけど、これらに加え、CD/DVDも対応のユニバーサルプレーヤーが当たり前に発売されている。

それから、HD DVDとBlu-rayの対立をβとVHSの対立になぞらえているけど、これは状況が違いすぎるので無理な比喩だろう。
βとVHSの対立で消費者が困ってしまったのは、VTRが全く新しいジャンルの家電製品だったからだ。しかし、HD DVDとBlu-rayは違う。ビデオディスクというジャンルは既にDVDが普及している。その前に存在したビデオCDは、収録時間が74分と容量的な問題があったが、DVDは2層化のおかげで3時間以上の映画も1枚のディスクに収まるだけの容量を持つ。更に複数言語の音声と字幕も収めることが可能だ。

どちらかというと、MDとDCCの規格争いに近いような気もする。完全に新しい規格であるMDと、カセットテープとの互換性を考慮した(あるいはそれを引きずってしまった)DCCとでは、MDに軍配が上がった。

そうなると、既存のDVDをHD DVDやBlu-rayに置き換えることの意味は何であろうか。1つは画質と音質の向上なのだが、そのメリットを享受するには、少なくともHDTVとサラウンドシステム、それもバーチャルサラウンドや5.1chではなく、6.1chや7.1chが必要であろう。
それから、画質や音質が向上するからとDVDシステムをHD DVDやBlu-rayに買い換える人はどの程度いるだろうか。まず、音質の向上を目的に買い換える人がいることはあまり期待できない。音質がセールスポイントになるのだったら、SACDやDVDオーディオはもっと普及しているはずだ。
画質がセールスポイントになるかどうかも、結構怪しい。VHSより画質がいいはずのS-VHSデッキはどの程度売れていたか?
なにしろ、VHSの画質はアナログ地上波よりも悪い。VHSの水平解像度は200TV本と言われているが、アナログ地上波の水平解像度は330TV本と言われている。BSアナログは350TV本で、S-VHSやレーザーディスクは400TV本以上である。それでも、S-VHSはVHSを完全に置き換えることが出来なかった。

これについて、以前、HiViというオーディオ・ビジュアル専門誌に興味深い話が載っていた。
この雑誌に「亡国のイージス」「終戦のローレライ」の作者である福井晴敏氏が連載を持っている。その連載の中で、高性能のAV機器の画質を編集者に見せて貰った福井氏、非常に細かいところまで映し出されているのに驚き、自分のAV機器もグレードアップしようとするのだが、福井婦人が一言「そんなところまで見える必要あるの?」
これは、オーディオ・ビジュアルにのめり込んだ人と普通の人との意識の差がはっきり分かる話である。
実は、このことについては、この雑誌に書いている評論家も気づいている。おそらく業界も気づいているだろう(それを規格が分裂したことが原因のように言ってはいるが)。多くの人にとっては、DVDの画質は十分高画質なのだ。

はたして、HD DVDとBlu-rayの将来はどうなるのであろう。SACDやDVDオーディオの様にマニア向けの規格になってしまうのだろうか?それとも、現行のDVD機器のほとんどを生産中止にして、後継機種をHD DVDやBlu-ray対応にするような、強硬手段を執って無理矢理普及させてしまうということもあるかもしれない。
ただ一つ言えることは、これらのディスクはPC用の大容量バックアップ媒体としての利用価値がある。そうなると、容量が大きいBlu-rayの方が将来性がありそうである。

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